〈第14回〉全てが好印象を与えるわけではない!

正しい「笑顔の作り方・使い方」

正しい「笑顔の作り方・使い方」

「人の印象の専門家」の吉武利恵です。

突然ですが、顔つき(表情)には、その人の生き方や在り方、感情が表れます。表情は非言語のメッセージを相手に印象として伝えるからで、そのため、普段から自分の顔の表情に責任を持つことが印象マネジメントでは重要になります。

ポジティブな印象を与える表情の代表が「笑顔」ですが、笑顔にも種類があります。しかも、必ずしも全ての笑顔が好印象を与えるというわけではありません。

そこで、今回は笑顔の種類とその作り方、笑顔を登場させる最適な場面を取り上げます。

笑い顔には「ラフ」と「スマイル」があります

笑い顔には大きく2つの意味があります。

おかしい出来事で笑う「ラフ」(Laugh)と、うれしい感情で微笑む「スマイル」(Smile)。どちらもコミュニケーションに必要な笑顔です。

コミュニケーション時のラフは、おかしい出来事が起こったときに、内から発生する感情に連動した顔の表情と体の動作で、相手と感情を共有するときに活用できます。

そして、スマイルには幾つかの種類と非言語メッセージがあり、コミュニケーションツールとして活用できます。

まずはネガティブな印象要素を減らしましょう

印象のセルフマネジメントでは、好印象を与える取り組みの前にすべきことがあります。それはネガティブな印象要素を減らすこと。ネガティブな印象が減れば、おのずと印象はアップするからです。

「目が笑っていないから、笑顔が怖い」と感じたことはありませんか?

「目は口ほどに物を言う」や「目は心の鏡」などのことわざがあるように、言葉や表情でごまかしても、目を見れば真偽が分かるといわれています。心と顔の表情筋は連動しているので、作り笑いや愛想笑いは相手に伝わってしまうということですね。

「口角が上がっていても笑顔に見えない」も

笑顔の作り方というと、「口角を上げましょう!」と聞きませんか?

確かに、それは間違いではありません。しかし、次の写真をご覧ください。
「口角が上がっていても笑顔に見えない」も

3つの写真とも口角は上がっていますが、全て笑顔に見えますか?

ちょっと、違いますよね。

①の写真は、口を閉じた状態で口角だけを上げています。こわばった表情に見えます。②の写真は、前歯が見えた状態で口角を上げていますが、目が怖いと感じる人もいるかもしれません。③の写真は、笑顔です。

これで、口角だけを持ち上げても、目が笑っていないと笑顔に見えない場合があることをご理解いただけたのではないでしょうか?

スマイルの微笑みは「頬笑み」とも表現できるように、頬が上がった状態です。頬が持ち上がると、おのずと口角が上がり、目が押し上げられるので目尻が下がります。

ポイントは心から思い、笑顔を作ること

スマイルを作るには表情筋を鍛え、柔軟にする必要があります。頬の表情筋は顔の中でも大きい筋肉で、この大きい筋肉を鍛えることで、笑顔を作ったときの顔の引きつりや頬の痙攣を防げます。

にっこりした微笑みやニコニコした笑顔のスマイルは、「優しさ」や「喜び」「うれしさ」「楽しさ」「感謝」などポジティブな感情を表現し、ポジティブなメッセージを非言語で相手に伝えることができます。

ポイントは「うれしい」や「楽しい」「ありがとう」などのポジティブなメッセージを心から思い、笑顔が作れていること。そのときに、相手に正しい非言語メッセージとして伝わります。

もし、笑顔を作ることに躊躇があったり、笑顔の効果を知りたい方は、ぜひ〈第5回〉「笑顔の価値観診断」で現状も分かるをご覧ください。

「3種類の笑顔」をコントロールしましょう

では、ここからコミュニケーションツールとしての笑顔の使い分けと、その笑顔の効果的な登場場面をご紹介します。

ポジティブな思いと表情を一致させることが大切だと書きましたが、それを最適な場面で瞬時にできれば、対人コミュニケーションの幅が広がりますよ。

次の写真をご覧ください。頬の表情筋の上げ具合により、3種類の笑顔をコントロールできます。

「3種類の笑顔」をコントロールしましょう

〈笑顔レベル1〉微笑み

口角が上がるまで頬を持ち上げることで、目が押し上げられて少し目尻が下がります。唇は軽く閉じ、歯が見えない状態。こちらの笑顔はスマイル度30~40%です。

【効果的な登場場面】「微笑み」の非言語メッセージは、「あなたの話に興味があります」「もっと、あなたを知りたい」「あなたの話をもっと聞きたい」など、普段の会話で出番が多いスマイルです。相手の話を穏やかな表情で聞いていることを非言語で伝えるスマイルです。

〈笑顔レベル2〉優しい笑顔

笑顔レベル1から、さらに頬を目尻に向けて持ち上げると、自然と唇が開き、上の前歯6本がのぞきます。歯が見える分、鼻下の距離が縮まるのが、この状態。こちらの笑顔はスマイル度60~70%です。

【効果的な登場場面】「優しい笑顔」の非言語メッセージは、「あなたに会えてうれしい」「一緒にいて楽しい」など、うれしい、楽しい、感謝などのポジティブな感情を表情で表現できます。特に第一印象や出会いの場面で、相手の警戒心を解くときに使えるスマイルです。心理学の初頭効果は、最初に与える情報が後の情報に影響を及ぼす心理効果。最初の情報を元に、人は相手の印象付けを行うため、最初の印象はとても大切。優しい笑顔で好印象を演出できます。

口の中を見せないのがポイント!

〈笑顔レベル3〉ニコニコ笑顔

笑顔レベル2から、頬と目尻を近づける意識で、さらに頬を持ち上げることで、自然と目が細くなる最上級のスマイルです。ラフは口の中まで相手に見えることがありますが、スマイルは歯と歯茎は見えても、口の中を相手に見せないのがポイントになります。

【効果的な登場場面】「ニコニコ笑顔」の非言語メッセージは、「あなたに会えてうれしかった」「また会いたい」「とても楽しい」など、最上級のポジティブな感情を表現できます。特に別れのあいさつの最後にこの笑顔を作ることで、心理学の親近効果の最後に与える情報が前の情報に影響を及ぼす心理効果を使えます。最後の情報が相手の印象に残りやすいので、好印象のニコニコ笑顔を相手の記憶に残す確率が高まります。

次の3つは間違った印象を与えてしまう

笑顔を頑張って作っているのに、相手に自分の意向が伝わらないときはありませんか?

間違った印象を与えないためにも、以下に当てはまらないかを確認してください。

(ケース1)常に相手の話を笑顔で好印象に聞こうとしていませんか?

笑顔で聞く話題や場面でないときもあります。真剣な態度で臨むべき話題や場面に笑顔は適切ではありません。もし、話題に関係なく笑顔を作っていたら、相手には「へらへらしている」「不適切」な印象を与えてしまうかもしれません。話題に合った表情を作るのが適切な対応です。

(ケース2)自信がなく、笑顔が控えめになっていませんか?

特に歯並びや前歯に自信がないと、歯を隠そうとしたぎこちない表情になってしまいます。年に一度以上は歯科検診に訪れましょう。

自信のなさは姿勢にも表れます。丸まった背中で笑顔を作っても、ポジティブな非言語メッセージも何割か減少したメッセージになる場合があるので気を付けましょう。

愛想笑いで場を乗り切るは駄目!

(ケース3)とりあえず愛想笑いで場を乗り切ろうとしていませんか?

笑顔を作っているつもりでも、心の中で「面倒だ」「話が長いな」「つまらない」などのネガティブなメッセージを思い浮かべていたら、感覚の鋭い人には作り笑いだと気付かれているかもしれません。作り笑いや愛想笑いはネガティブな印象なので避けてください。

笑顔は世界共通のポジティブなコミュニケーションツールです。あなたの笑顔が周りの空気を明るく照らします。ぜひ、素敵な笑顔を最適な場面で瞬時に表現してください。

最後まで、お読みくださいまして、誠にありがとうございました。日々の振る舞い、発言、行動の積み重ねが、あなたの印象をつくります。本来のあなたのポテンシャルに近づくために、印象で損しないために、ぜひ、印象のセルフマネジメントを一緒に意識し続けていきませんか?