〈第23回〉自分に合った色でさらに魅力的に!

人の印象は「色と色調」によっても変わる?代表的な色の象徴とイメージを紹介

人の印象は「色と色調」によっても変わる?代表的な色の象徴とイメージを紹介

「人の印象の専門家」の吉武利恵です。

印象マネジメントの要素の1つに、色(カラー)があります。色や色調からもメッセージを発信して、その人の印象を形成しています。皆さんは「色」とどう付き合っていますか?

好きな色、似合う色、なじむ色、戦略的に活用する色など、色にもいろいろな側面からの捉え方があります。

「好きな色」は、自分の好きな人やモノ、キャラクターの代表色であったり、似合うといわれたことがある色や、縁起の良かった色など、過去の経験が強く影響しています。

「似合う色」は、その人の容姿や性格、人柄に近い色や色調であったり、職業や役割と一致している色など、相手に違和感を与えずにあなたにピッタリだと感じてもらえる色です。

「なじむ色」は、パーソナルカラーの診断領域になります。ボディカラー(肌色)や髪の毛の色、瞳の色から判断してその人を魅力的に生き生きと魅せてくれる色や色調です。

「戦略的に活用する色」は、色や色調が持つ象徴や心理イメージを効果的に使って、人の印象だけでなく企業ブランディング、商品、インテリアなどのコンセプトに合わせて戦略的に活用する色のことです。

色をどう感じるかは自分が感じるだけでなく、相手に同じメッセージが伝わっているかが印象マネジメントではとても大切です。この色を効果的に活用することを「カラーマネジメント」といいます。

今回のコラムでは、カラーマネジメントの基礎として、代表的な色調と色の象徴とイメージをご紹介いたします。

色調(カラートーン)の特徴とイメージ

色調とは、色の明度と彩度により分けられる色の系統をいいます。白や黒、グレーなど色みのない無彩色から、低彩度、中彩度、高彩度、純色と10以上の種類に細分化されていますが、今回は大きく4つに分けて特徴とイメージのご紹介をいたします。

代表的な色調

代表的な色調

こちらの図は縦軸が明度(めいど)となり白が混ざるとより明るく、黒が混ざると暗くなります。そして、横軸は彩度(さいど)となり色の鮮やかさを表します。

では、代表的な4つの色調を具体的に見てみましょう。

 

①ビビットで明るい色調

①ビビットで明るい色調

特徴:彩度(鮮やかさ)が一番高い色調。純色。原色。
イメージ:鮮やか、派手、生き生きした、さえた、目立つ、明るい、健康的、元気な、陽気、華やか、情熱的、強い、など

パーソナルカラー診断でいうブルーベースの「ウィンタータイプ」に当てはまります。コントラストがはっきりした色でも顔が色に負けることがなく、相乗効果により引き立て合います。上品でドラマチックな雰囲気な存在感を持つ人が多いのが特徴です。

 

②ペールトーンやパステル調のソフトな色調

②ペールトーンやパステル調のソフトな色調

特徴:明度(明るさ)が高く、白を混ぜた色調。白の割合により濃淡の幅がある。
イメージ:淡い、浅い、軽い、弱い、女性的、若々しい、優しい、かわいい、澄んだ、子供っぽい、爽やか、など

パーソナルカラー診断でいうイエローベースの「スプリングタイプ」に当てはまります。かわいらしいキュートな雰囲気で、実年齢よりも若く見える方が多いのが特徴です。明るくクリアなビタミンカラーも似合います。

 

③グレイッシュで落ち着いた色調

③グレイッシュで落ち着いた色調

特徴:純色にグレーを混ぜてできる色調。ライトグレーからダークグレーまでのグレーの濃淡で明度が変わる。
イメージ:落ち着いた、おとなしい、灰みのある、濁った、渋い、など

明度が高いグレイッシュのイメージは、クール、上品、柔らか、穏やかなど、グレイッシュの中でも比較的ソフトなイメージです。明度が低いグレイッシュのイメージは、くすんだ、鈍い、地味な、暗い、陰気な、重い、男性的で明度が低くなればなるほど、強く重い「黒」のイメージが強くなります。

パーソナルカラー診断でいうブルーベースの「サマータイプ」に当てはまります。グレイッシュな色調や淡いブルーが入った明るい色が似合います。上品でクールエレガントな印象をお持ちの方が多いのが特徴です。

 

④深みのあるダークな色調

④深みのあるダークな色調

特徴:純色に黒を混ぜてできる色調。黒の割合により濃淡の幅がある。
イメージ:落ち着いた、大人っぽい、円熟した、深い、濃い、重い、暗い、丈夫な、充実した、固い、男性的、伝統的な、など

パーソナルカラー診断でいうイエローベースの「オータムタイプ」に当てはまります。秋の紅葉をイメージさせる色やスモーキーな色が似合います。大人っぽいゴージャスな雰囲気をもたれている人が多いのが特徴です。

色の印象は色そのものだけでなく、色調にもさまざまな印象があることをご理解いただけたでしょうか。色調の特徴やイメージを理解して、活用することでカラーマネジメントに幅や奥行きを出すことができますね。

代表カラーの象徴とイメージで自分合った色を!

代表的な色が持つ象徴やイメージを活用することは、戦略的なカラーマネジメントには欠かせません。色が持つ心理効果のメリットとデメリットの両方を理解して、ぜひ効果的に印象戦略に活用してください。

「赤色」
「赤色」象徴:火、血、太陽、命
イメージ:エネルギッシュ、活力、アグレッシブ、前向き、攻撃的、情熱的、積極性、リーダー的、勇気、勝利、愛、危険、怒り、争い、など

純色の赤色は体温を上げる「温暖色」は「興奮色」でもあり、闘争心を駆り立てる勝負の世界でよく利用されています。火や太陽を連想させるアクティブな色で、戦隊系のリーダーの色は必ず「レッド」ですよね。

注目を集める色なので、広告や商品パッケージに良く使われます。「購買色」「販売色」ともいわれ、セールには欠かせない色です。企業のロゴデザインにも良く使われています。

赤に白を混ぜるとピンクになります。ピンクは赤の攻撃性を抑えて、女性らしさや優しさ、幸せの象徴のカラーです。女性ホルモンを活性化させる色ともいわれているので、産婦人科の入院棟はピンクが多く使われています。

 

「橙色」
「橙色」象徴:夕日、炎、オレンジ、ニンジン、暖炉
イメージ:親しみ、陽気、元気、にぎやか、明るい、楽しい、前向き、喜び、幸福感、家族的、八方美人、など

赤色と黄色の中間に位置する色で、赤色と黄色の良いイメージを取った色といえます。食品に多い色で日常的に触れているため、親しみがあるカジュアルな色の代表です。家庭的な温かいイメージから、スーパーマーケットや食品店のイメージカラーに多く利用されています。

 

「黄色」
「黄色」象徴:太陽、光、平和、レモン
イメージ:明るい、楽しい、希望、新鮮、フレッシュ、解放的、活発、幸福、青春(甘酸っぱい)、危険、緊張、不安、軽率、庶民、金運、など

黄色は有彩色の中で一番明るい色なので「膨張色」や「進出色」の効果があります。赤系色に次ぐ「温暖色」と「興奮色」でもあります。光や太陽のイメージから、楽しい気分にさせてくれるので、コミュニケーションカラーともいわれています。そして、昼夜問わず遠くから見やすく距離間も分かりやすいため、注意を促す色として使われます。

 

「緑色」
「緑色」象徴:自然、森林、植物、命
イメージ:癒し、生命力、安心、安定、安全、公平、平和、理想、調和、バランス、若さ、新鮮、保守的、など

緑色は木や森などの自然の色なのでリラックス効果の高い色で、目の疲れを休ませて目に負担をかけない優しい色です。互いの色を最も目立たせる緑色の補色は赤色です。代表例はクリスマスカラーがあります。

そして、補色には残像の消去をする効果もあります。例えば、血液の赤の残像を消去してくれるので、医療現場の手術着にも活用されています。日本では、安全の色として交通標識や非常口のマークなどに利用されています。

 

「青色」
「青色」象徴:海、空
イメージ:開放感、知性、理性、安全、安心、誠実、信頼、冷静、静寂、静寂、冷たい、鋭い、若さ、未熟(青臭い)、悲しみ(ブルー)、など

青色は「寒冷色」で涼しく感じる色の代表です。プールの内壁や夏の寝具などによく利用されています。他に、興奮を抑えて気持ちを落ち着かせる「鎮静色」でもあり、時間を遅く感じさせる効果もあります。

さらに、「後退色」や「収縮色」として、遠近法に使うこともできます。緑色と同じく、安心・安全の色として、交通機関、情報機器メーカーなど、信頼が必要な企業のブランドカラーとしてもよく利用されています。青色はとても好感度の高い色として世界的に人気がある色です。

 

「紫色」
「紫色」象徴:希少、特異、権力、神秘
イメージ:上品、高貴、神秘的、優雅、落ち着き、下品、性的、不安定、欲、など

古くは高位を表す色とされていました。それは、染料の入手が難しい時代であったからです。濃淡もありますが、「動の赤」が強い赤紫から「静の青」が強い青紫まで、色の幅が広いために、両極端な二面性をもった印象も特徴の色です。薄紫は優雅で上品、濃い紫は妖艶な印象があります。

 

「茶色」
「茶色」象徴:大地、土、木
イメージ:自然、安定、堅実、重厚、どっしりした、信頼、保守、たくましい、力強い、豊かさ、頑固、円熟、緊張緩和、伝統、歴史、温もり、安らぎ、素朴、生命、汚物、など

茶色は赤色や橙色に黒が混ざった暖色で、緑と共に土や木の自然を感じさ、温かみのある色です。暗いトーンの青色は補色の茶色が引き立て役となります。

 

「白色」
「白色」象徴:純白、潔白、白衣
イメージ:純白、清潔、純真、潔癖、真面目、平和、勝利、完璧、冷たい、空虚、スタート、など

白は彩度のない無彩色です。最も明度が高いので、「膨張色」で「進出色」「軽量色」の効果があります。どんな色とも調和する色です。白には「汚れていない」「汚してはいけない」という心理が働きます。

 

「黒色」
「黒色」象徴:純白、夜、闇、死
イメージ:エレガント、強い、頑固、自己主張、自信、重量感、高級感、落ち着き、権威、威厳、シック、フォーマル、しゃれた、神秘、暗い、恐怖、絶望、孤独、など

黒は無彩色で、光を反射させず全ての色を吸収する色です。他の色を引き締めて目立たせる効果があります。「収縮色」で「後退色」なので、黒枠で囲まれた中のものを浮き立たせて目立たせる効果があります。漆黒でツヤのある黒は高級感とモダンな雰囲気を演出するときに使えます。

全身黒ずくめの服装では、浮き立たせる部分がないために収縮効果は発揮されません。もし、スタイルアップや細見えさせたいときには、他の色と組み合わせましょう。

 

「灰色」
「灰色」象徴:中和、無関心
イメージ:上品、忍耐、慎重、平凡、控えめ、穏やか、忠誠、従順、信頼、寂しい、個性がない、落ち着いた、曖昧、地味、無気力、不透明、など

灰色も無彩色で「沈静色」の効果があります。明るければ「白」のイメージ、暗ければ「黒」のイメージを持つ色です。控えめな上品な色で、調和しながら他の色を引き立ててくれます。

日本では粋な色として、さまざまなねずみ色の和名が日本の伝統色として残っています。一昔前のオフィス家具は灰色のキャビネットやデスクが多かったと思いませんか? 灰色の自我を抑え、落ち着いて仕事に集中させる心理効果を利用していたのでしょう。しかし、アイデアを活発に出させ、主体的にアクティブに行動させる現代には向かない色かもしれませんね。

今回の印象マネジメントでは、カラーマネジメントを取り上げました。色には他に組み合わせやリズム、配分など、まだまだ考えなければならないことがあります。しかし、はじめの一歩として、色のイメージと色調のイメージを総合的に戦略に取り入れることがカラーマネジメントのベースとなります。ぜひ、皆さんの印象マネジメントにご活用ください。

最後までお読みくださいまして、誠にありがとうございました。日々の振る舞い、発言、行動の積み重ねがあなたの印象をつくります。本来のあなたのポテンシャルに近づくために、印象で損しないために、ぜひ、印象のセルフマネジメントを一緒に意識し続けていきませんか?

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